『2022年問題』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
1992年に始まった生産緑地法では、一定の条件を満たした農地には30年間税金の優遇措置を受けられることになっています。その優遇措置期間が終わるのが2022年です。
2022年になると、大量の農地が宅地化されたり、農業をやめて遊休地となってしまうことが懸念されています。
そこで考えたいのが、農地を活用したソーラーシェアリングです。
ソーラーシェアリングとは
ソーラー(=太陽光発電)・シェアリング(=シェアする)という言葉から連想されるように、ソーラーシェアリングとは、農地と農業と太陽光発電設備とでシェアすることを意味します。
完全に農業を辞める場合は農地転用の手続きを行い、太陽光発電だけすることもできますが、農業も続けたい、事情があって農業も続けなければならない場合などに、所定の手続きを行うことで農地の一部で太陽光発電をすることができます。
ソーラーシェアリングの魅力
農業は肉体的、時間的にもとても手間のかかる割に、収入の確約がありません。実際に、高齢化や後継者不足で農業の担い手が減っていることがそれを物語っています。
ソーラーシェアリングを行えば、農業を続けながら、安定的な収入を確保することができます。初期投資が必要となりますし、天候によって多少は左右されますが、農業に比べると肉体的、時間的制約がほとんどなく収入を得られるのは、大きな安心につながるでしょう。
また農地では大きな土地を確保することができるので、産業用の太陽光発電システムとして認定を受けられる可能性が高くなります。一般家庭用のシステムでは、売電の買取保証期間が10年なのに対し、産業用の認定を受けると20年に倍増されますので、将来的な計画も立てやすいです。
さらに、あくまでも農地の一部を転用という形で手続きしていますので、やはり農地に戻したいと言った時にも、戻すことができます。
ソーラーシェアリングで気をつけたいこと
ソーラーシェアリングを行う分、農業ができる範囲や自由度が下がることは考慮しておかなければなりません。太陽光発電設備自体が、農作物に悪影響を及ぼすことは考えにくいですが、設置場所や大きさによっては作付けできる農作物の種類が限られる可能性もあるでしょう。
事務面でもやや手続きや煩雑となり、毎年農業の実績報告と、3年毎の転用許可申請の提出が必要になります。
・農作物の生育に適した日照量を確保すること
・営農に支障のないよう、架台の地上高2m以上を確保すること
・周辺農業の邪魔にならないこと
・年1回の報告を提出すること
上記の条件も気をつけないといけないポイントですね。
2022年問題、後継者不足に備えて活用
状況によっては、2022年問題や後継者不足に備えて、農地のソーラーシェアリングは有効です。例えば、生産緑地法での30年縛りによって農業を続けてきたが高齢となり、今後は農業の規模を縮小したいといった場合、ソーラーシェアリングで収入を確保しながら、無理のない範囲で農業を続けることができます。
後継者がいない場合でもソーラーシェアリングで徐々に農業規模を縮小していくこともできるでしょう。
太陽光パネルの設置と農作物
ソーラーシェアリングでは農作物を育てるスペースが必要なため、地上から高い一致に太陽光パネルを設置します。
パネルの下や周囲は影ができるので、葉物野菜などたくさんの光を必要とする農作物は植えられません。一般的には、芋類、根菜など地中で育つ農作物が良いとされているので、それらの農作物を作ってきた農地では、ソーラーシェアリングの導入はしやすいと言えるでしょう。
【まとめ】2022年問題・後継者不足の農地は一考の価値あり
一つの農地を太陽光発電と農業とでシェアするソーラーシェアリングは、2022年問題や後継者不足などに悩んでいる農家には一考の価値ありの農地活用法です。
農業スペースや作付けできる農作物が制限される可能性があること、初期費用や維持費がかかることを念頭に置いた上で、一度専門家に相談してみても良いでしょう。
<農林水産省のソーラーシェアリング特設ページ>
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/einogata.html