雪国で太陽光発電を考えている人にとって気になることといえば、やはり冬の積雪ではないでしょうか? 太陽光パネル(モジュール)に雪が積もってしまっては発電できません。実際、雪国で太陽光発電はできるのかを検証してみましょう。
夏でも気温が上がりにくいメリット
太陽光発電パネルは、熱が上がると発電効率が落ちるという特徴があります。パネルによって様々ですが、25度を1度越える毎に0.4%発電効率が下がると言われています。
最近の日本では夏場は気温が35度になる日も珍しくありません。そうなるとパネルの表面温度は70度ほどに達することもあるでしょう。単純計算で18%も発電効率が落ちることになります。
雪国は夏でも気温が上がりにくいので発電効率は落ちにくいと言えるでしょう。その点では、雪国で太陽光発電を行うメリットはあると言えそうです。
冬の発電効率低下の鍵は積雪量が握る
太陽光発電では気温の低さは問題になりませんが、太陽光パネルが物理的に覆い隠されると、全く発電することができません。つまり、積雪が問題となります。
太陽光パネルが全面雪で覆われて、太陽光を浴びることができなければ発電量はゼロ、半分が覆われば発電効率も半分ということです。
こうした状況から、雪国での太陽光発電量は全国平均の80〜90%に止まるとされています。
雪国での対策
雪国で太陽光発電を効率的に行うには、あらかじめ雪への対策をどのくらいできるかによります。まず大切なのは、業者の選定です。雪国での太陽光発電事業の経験が豊富な業者を選ぶようにしましょう。
雪国ならではの問題点や解決策に対する豊富なノウハウを持っているところが望ましいです。それまでの施工実績なども見せてもらうようにしてください。
次に、雪国にあった太陽光パネルを選ぶのも大事です。とはいえ、素人が太陽光パネルを選ぶのは大変ですから、やはりそこで専門的な見識を元にアドバイスしてくれる業者の力が大切になります。
そして、太陽光パネルの設置角度も重要ポイントです。太陽光パネルに雪を積もらせにくくするのであれば、角度をつけてパネルを設置した方が良いですが、急にしすぎると今度は太陽光を受けにくくなります。
居住地域や家の形状によっても、太陽光が最も当たりやすい角度が違いますので、ベストな角度を割り出し、設置する技術のある業者にお願いしましょう。
過積載という裏ワザ
雪国では過積載という裏ワザを使う手もあります。過積載とは、光エネルギーを電気エネルギーに変えるパワーコンディショナー(パワコン)の容量よりも、太陽光パネルの容量を大きくするという意味です。
本来であれば、例えば5kW用のパワコンに対しては、5kW用の太陽光パネルを使用します。しかし、雪国ではたくさんの太陽光を集めるのが大変なので、5kW用のパワコンに対しては、6kW用の太陽光パネルを使うのです。
6kW用の太陽光パネルを使っても、冬場は実際には5kW程度しか太陽光を集められないと仮定しての方法ですが、この方法で冬の発電量が予測値よりも多かったという報告があります。
ただし、夏場や積雪の少ない日などはロスが生まれる可能性もあるので、細やかなシミュレーションが必要です。
雪国の太陽光発電を注意すべきこと
雪国で太陽光発電を行う場合には、発電量以外にも考えなくてはならないことがあります。それは太陽光パネルからの落雪や雪下ろしなどに代表される、雪によるトラブルです。
特に住宅密集地や隣家との距離が近い場合は、落雪対策は必ず行いましょう。たとえ自分の敷地内にしか落雪が考えられない場合でも、思わぬ事故を防ぐためにも落雪対策は必須です。
また発電効率を上げるために雪かきを行いたいところですが、非常に危険な作業になる上、太陽光パネルを傷つけるリスクが高いためオススメできません。
積雪よりも、パネルを傷つけた場合に発電効率が低下する可能性の方が高く、修理費も必要となります。
設置時に雪が積もりにくくなるような対策をしつつ、積もってしまった場合は自然と溶けたり落ちるのを待つほかありません。
【まとめ】雪国での太陽光発電は一考の価値あり
夏でも気温が上がりにくい雪国では太陽光発電を行う価値はあります。しかし、やはり冬の発電効率の低下や雪への対策は必要になるので、実績ある業者を探して、しっかりとシミュレーションを行いながら検討するようにしましょう。